事業所得と業務に係る雑所得の判定基準
国税庁が意見公募(パブコメ)を実施していた所得税基本通達の改正案では、
給与所得者の副業に係る所得等について、
収入金額が300万円以下の場合、
原則として事業所得ではなく業務に係る雑所得として取扱うことが示されましたが、
7千件を超える意見が寄せられた結果、
改正案を修正した通達が公表されました(令和4年分以後の所得税に適用)。
◆収入金額による判定基準を修正した改正通達
この改正は、副業収入を雑所得ではなく
節税メリットが大きい事業所得として申告するケースが
増加していることなどに対応するため、
雑所得の範囲を明確化するものですが、
改正案に多くの指摘や反対意見があったことから修正し、
本業か副業かは問わず記帳・帳簿書類の保存の有無により、
事業所得と業務に係る雑所得の区分を判定することとしました。
具体的には、「事業所得と認められるかどうかは、
社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかで判定する」ことを原則としつつ、
「その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合は、
業務に係る雑所得に該当する」としました。
◆記帳・帳簿書類の保存の有無で判定
つまり、従来から事業所得者に義務付けられている
記帳・帳簿書類の保存をしている場合は、
概ね事業所得として取り扱われます。
ただし、帳簿書類を保存している場合でも収入金額が僅少である場合や、
所得を得る活動に営利性がない場合は個別に判断することとなります。
一方、記帳・帳簿書類の保存をしていない場合は、
原則として事業収入と認められず、業務に係る雑所得に区分されます。