相続放棄等をする場合の「熟慮期間」
政府は、台風19号による災害を
「特定非常災害」に指定しました。
これに伴い、被災者の権利や利益の保全等を図るため、
運転免許などの許認可等に係る有効期限の延長や、
期限内に履行されなかった届出等の義務の猶予など、
行政手続きに関する特別措置が適用されます。
この特別措置により、
相続放棄等の熟慮期間についても延長が行われます。
◆「相続放棄」と「限定承認」
被相続人(亡くなった方)の財産を相続する場合に、
相続人は現預金や土地等の財産だけではなく、
借金等の債務も含めて相続することになります。
これを「単純承認」といいます。
一方、借金等の債務が財産より明らかに多い場合などは
「相続放棄」をすることで、
被相続人の全ての財産と債務を引き継がないことができます。
また、借金等が不明な場合などに、
相続で得た財産を限度として債務を引き継ぐ
「限定承認」という方法もあります
(手続きが煩雑なため注意が必要)。
◆相続放棄等をする場合の「熟慮期間」
相続人が相続放棄や限定承認を選択する場合は原則、
「相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内」に
家庭裁判所でその旨を申述する必要があり、
この期間を「熟慮期間」といいます。
今回の特別措置では、
特定非常災害発生日(令和元年10月10日)において、
災害救助法が適用された区域に住所を有していた相続人を対象に、
熟慮期間が令和2年5月29日まで延長されます。
なお、熟慮期間内に相続放棄等をしなかった場合は原則、
単純承認をしたものとみなされます。