投稿日: 2025年5月29日
カテゴリー: オンライン週刊フジ

欠損金が生じた場合の繰越控除と繰戻還付

国税庁が公表した「令和5年度分会社標本調査」によると、

法人数295万6717社のうち、

利益計上法人は過去最大の115万3514社、

欠損法人は180万3203社であり、

その欠損法人割合は61.0%となっています。

◆欠損金額は10年間の繰り越しが可能

青色申告書を提出する法人に欠損金(税務上の赤字)が生じた場合は、

「繰越控除」や「繰戻還付」が適用できます。

欠損金の繰越控除は、欠損金が生じた事業年度の翌事業年度以降10年間

(平成30年4月1日前に開始した事業年度の欠損金は9年間)

にわたって欠損金を繰り越す制度で、

繰越期間中の各事業年度で生じた所得金額(黒字)から繰越欠損金を控除できます

(複数の事業年度に生じた繰越欠損金がある場合は、最も古い事業年度のものから順に控除)。

なお、中小法人等(資本金1億円以下)は各事業年度の所得金額を限度に控除できますが、

中小法人等以外の法人は所得金額の50%が限度額です。

◆前期の黒字と相殺する繰戻還付

欠損金の繰戻還付は、

欠損金が生じた事業年度開始の日の前1年以内に開始した事業年度に

欠損金を繰り戻すことができる制度であり、

前事業年度の黒字と相殺することで既に納めた法人税額から赤字分の還付を受けられます。

この繰戻還付は原則として中小法人等に限り適用できます。

ただし、災害損失欠損金額(災害により棚卸資産や固定資産などに生じた

滅失や原状回復等による損失)や

解散等の事実が生じた場合の欠損金額などは中小法人等以外の法人も適用可能です。


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