令和6年分の贈与税の申告状況と改正
国税庁が公表した令和6年分の確定申告状況等によると、
贈与税の申告では使い勝手が向上した「相続時精算課税」の適用が大幅に増加しています。
◆相続時精算課税の適用は前年比59%増
贈与税の申告書を提出した方のうち、
贈与を受けた年ごとに課税(基礎控除110万円)する
「暦年課税」を適用した方は39万7千人(同14.0%減)で、
申告納税額がある32万7千人(同11.8%減)の納税額は
3274億円(同9.7%増、1人当たり100万円)となっています。
また、60歳以上の父母・祖父母などから
18歳以上の子・孫などに対する贈与について、
暦年課税に代えて「相続時精算課税」を適用した方は7万8千人(同59.2%増)で、
申告納税額がある6千人(同24.6%増)の納税額は
661億円(同17.5%増、1人当たり1146万円)と増加しています。
◆令和6年の贈与から開始された改正
相続時精算課税は贈与税・相続税を通じた課税を行う制度で、
贈与者ごとに選択でき、
その贈与者が亡くなるまで適用されます(暦年課税に戻せません)。
本制度は令和6年から年110万円の基礎控除額が設けられたことで、
本制度を選択した贈与者から贈与を受けた財産は、
贈与時に基礎控除(年110万円)及び特別控除(累計2500万円)を適用でき、
贈与者が亡くなった時は基礎控除分を除いた贈与財産を
相続財産に加算して相続税額を計算します。
なお、暦年課税で贈与を受けた財産を相続財産に加算する期間は
令和6年から「相続開始前7年以内」となりました
(相続開始日が令和9年以後の場合に3年超の加算期間となり令和13年以後に7年)。