インボイス制度での売手負担の振込手数料
取引先から売上代金が支払われる際に
請求金額から振込手数料を差し引いて支払われることで、
売手が振込手数料相当額を負担するケースがあります。
◆売手が振込手数料を負担する場合の取扱い
インボイス制度において、売手が負担する振込手数料相当額の対応は次のように分けられます。
なお、②又は③の対応は一定規模以下の事業者の場合、
「少額特例」の適用により一定事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。
①振込手数料相当額を「売上値引き」とする場合……
売上に係る対価の返還等として
原則、買手に対して返還インボイスの交付が必要となりますが、
通常、振込手数料は1万円未満のため
「少額な返還インボイスの交付義務免除」の措置により不要です。
なお、「支払手数料」として経理処理をした場合でも、
消費税法上は対価の返還等とすることが認められます。
②買手から「代金決済上の役務提供を受けた対価」とする場合……
買手から振込手数料相当額のインボイスの交付を受けることで仕入税額控除ができます。
または売手が差し引かれた振込手数料相当額についての仕入明細書等を作成し、
買手の確認を受けることで仕入税額控除を行うこともできます。
③買手が売手に代わって振込手数料を「立替払した」とする場合……
買手が金融機関から受け取った振込手数料に係るインボイスと、
買手が作成した立替金精算書等の交付を受けることで、仕入税額控除を行います。
なお、金融機関のATMから振込みが行われた場合は
自動販売機特例(インボイス交付免除)の対象となるため、
振込手数料に係るインボイスと立替金精算書等は不要となります。