DC一時金と退職金等を受け取る場合
令和7年度税制改正大綱では、
確定拠出年金(iDeCoや企業型DC)を一時金で受け取った後、
一定期間内に退職金等を受け取る場合における
退職所得控除の調整規定の見直しが盛り込まれています。
◆退職所得控除の計算上、重複期間を排除
確定拠出年金を老齢一時金(DC一時金)で受け取った場合は、
退職所得として取り扱われ、
勤続期間(加入期間)に応じた退職所得控除や1/2課税の適用を受けることができます。
ただし、DC一時金と会社からの退職金等を一定期間内に受け取る場合などは、
退職所得控除の計算上、重複する勤続期間等を排除する規定があります。
先にDC一時金を受け取った後に会社からの退職金を受け取るケースでは現行、
退職金を受け取った年の前年以前4年内にDC一時金を受け取っている場合に
勤続期間等の重複排除が適用されます。
そのため、例えば60歳でDC一時金を受け取り、
65歳で退職金を受け取った場合は重複排除はなく、
勤続期間に応じた退職所得控除を受けられました。
◆令和8年から重複排除の対象期間が拡大
しかし、令和7年度税制改正において、
退職金等を受け取った年の前年以前「9年内」にDC一時金を受け取っている場合を
勤続期間等の重複排除の対象とする見直しが予定されています。
この改正は、令和8年1月1日以後にDC一時金の支払を受けている場合で、
同日以後に支払を受けるべき退職金等について適用されます。
なお、退職金等を受け取った後にDC一時金を受け取るケースでは、
前年以前19年内に退職金等を受け取っている場合が重複排除の対象です(改正なし)。