「配偶者短期居住権」と「配偶者居住権」
改正民法(相続法)により、
本年4月に「配偶者短期居住権」と「配偶者居住権」が新設されました。
◆最低6ヵ月の居住を保障する短期居住権
配偶者短期居住権は、
配偶者が相続開始時に被相続人が所有する建物に居住していた場合に、
被相続人の意思などに関係なく相続開始時から発生し、
原則として遺産分割が決まるまでの間(最低でも6ヵ月間)、
その建物を無償で使用できる権利です。
また、配偶者が相続放棄した場合や、
遺言により配偶者以外の第三者が建物の所有権を取得した場合でも、
所有権の取得者から短期居住権の消滅の申入れを受けた日から
6ヵ月間は無償で建物に住み続けることができます。
◆原則、終身まで居住できる配偶者居住権
一方、配偶者居住権は、
被相続人が所有する建物に居住していた配偶者が終身又は一定期間、
その建物を無償で使用できる権利で、遺産分割協議や、
被相続人の遺言などによって取得できます
(被相続人と配偶者以外の者が共有していた建物は対象外)。
これは、相続財産である自宅の権利を居住権と所有権に分けて、
配偶者が「配偶者居住権」を、
配偶者以外の相続人が「居住権が設定された所有権」を
取得できるようにしたものです。
配偶者居住権を取得した場合、
その財産的価値相当額を相続したものとして扱われ、譲渡したり、
所有者に無断で第三者に賃貸することはできないなどの制約がありますが、
配偶者が自宅の所有権を取得する場合より低い評価額で居住権を確保できます。
なお、配偶者が亡くなった場合、
配偶者居住権は消滅するため、相続税の課税は生じません。