退職金に係る課税の取扱い
退職金は、長年の勤労に対する報償的給与として支払られるものであり、
税負担が軽くなるよう取扱いが優遇されていますが、
令和3年度税制改正では勤続年数5年以下の方に対する退職金について見直しが行われます。
◆退職所得控除を差し引いた額の1/2に課税
会社から退職金の支払いを受けた場合、
【(退職金-退職所得控除額)×1/2】が退職所得となり、
これに退職所得金額に応じた税率を乗じて所得税額を計算します
(原則として他の所得と分離して課税)。
退職所得を算出する際に退職金から差し引く「退職所得控除額」は、
勤続年数(1年未満の期間は1年)に応じた額となり、
勤続年数20年までは1年につき40万円(控除額が80万円未満の場合は80万円)、
20年超の部分は1年につき70万円です。
例えば、勤続年数30年の場合、
退職金から退職所得控除1500万円(40万円×20年+70万円×10年)を
差し引いた額の1/2が退職所得となります。
なお、役員等として勤務した期間が5年以下の方が
役員等勤続年数に対応する退職金の支払を受けた場合の退職所得は
【退職金-退職所得控除額】となり、1/2とする措置は適用されません。
◆勤続年数5年以下の退職金に係る見直し
令和3年度税制改正では、
役員等以外の勤続年数5年以下である方の退職金に係る退職所得の計算について見直しが行われ、
退職金から退職所得控除額を差し引いた残額のうち300万円を超える部分は、
1/2課税の適用を受けられなくなります。
この改正は、令和4年分以後の所得税について適用されます。